「ごめん、僕のせいで迷惑をかけて………」
二戸 梨杏が首を横に振る。
私だって見つかったら、今、やばいから。
中村先生の父親の声が足音と共に近づいてくる。
狭いクローゼットの中、拓夢が二戸 梨杏の体をぐっと引き寄せて抱きしめる。
「わあぁっ… …」と目を丸く大きく開けて驚く二戸 梨杏。
「何かあった時は、僕が絶対に守るから。だから、安心して」
「うん」と静かに頷く二戸 梨杏。
距離が近すぎて、拓夢くんの熱い体温と早い鼓動が私の体に伝わってくる。
少しずつ間をおきながら、体との距離を離そうとするがすぐに拓夢くんに引きもどされてしまう。
「動くと物音がするから、………駄目だよ。じっとして」
「うん」と首を縦に振る二戸 梨杏。



