親父、頼むから、帰ってくれ。 中村先生の父親が鼻をひくひくさせて匂いを嗅いでいる。 「におうぞ、拓夢の匂いがする」 もぉー、いい加減、警察犬みたいなまねはもう止めてくれよ。 中村先生の父親が本の隙を狙って玄関から猛虎突進する。 「しまった……!」と中村先生が顔をしかめる。