玄関にある二戸 梨杏と拓夢の靴が目に飛び込み、慌てて下駄箱に二人分の靴を中村先生が隠してなおす。
少し息を切らせながら中村先生が玄関のドアを開ける。
「連絡も無しで、親父、こんな時間に一体どうしたんだよ……?」
「拓夢が家を出てから、帰って来ないんだ。もしかしたら、ここに来ているんじゃないか、と思ってーー」
中村先生の父親が部屋の様子を伺いながら玄関から上がってこようとする。
「あぁ、……ちょっ、ちょっと待って。拓夢なら、ここにいないから……」
両手を横に目一杯伸ばして阻止しようとしている中村先生。
「お前の言うことは信用できん。ほら、早くどけろ。ここに、いるんだろう?」



