「アイツはソファーで今横になっているよ。二戸、“いただきます!”の挨拶を早くするぞ!」






「はいっ」






中村先生と二戸 梨杏が同じタイミングで両手を合わせる。






「いただきます!」



「いただきま~す」





――二戸 梨杏がオムライスの上に書いてくれた“しゅんや”という文字が食べる度に少しずつ消えていく。





本当は、食べずにホルマリン漬けにして永久保存したいぐらいの今日のオムライス。




でも、今日の晩ご飯は世界で一番美味しいオムライスが出来たな。






誰にも譲りたくない、最高のオムライス。






「おいしいね!」





ニコニコしながらスプーンを口に運んでいる二戸 梨杏。






中村先生が軽く微笑む。