最近、やけに二戸 梨杏に対しての気持ちが膨らんでくると、言葉よりも先に行動に突っ走ってしまう俺、もしかしたらブレーキが壊れかかっているのかもしれねえな。
いつかこの先自分の気持ちに歯止めが効かなくなってしまったらと、ふと考えると……、自分が恐くなり思わず二戸 梨杏に回していた両手の力を緩めた。
真顔に戻る中村先生。
なんて、情けない男(ヤツ)なんだ――、俺。
――前に俺が二戸 梨杏に言った言葉を思い出した。
『二戸、俺とお前は教師と生徒の関係だ。一緒に暮らす事になっても、いいか、それだけは忘れるなよ』
支離滅裂。
二戸 梨杏に偉そうな事を言っておいて。
言ってる事とやってる事、完全に矛盾している。
――先生と生徒。
頭を冷静にすりゃ、直ぐに分かる事なのに。
何をしているんだろう、俺。
俺から境界線を崩すような事をしてどうするんだ!
バカだな、俺。



