こんな時は、感謝の気持ちをどうして、伝えたらいいんだ。
鼻の下を人差し指でこする仕草をしながらテーブルの近くで立っている二戸 梨杏に少しずつ歩いて近づいていく中村先生。
二戸 梨杏の前で立ち止まり、小さな頭をポンポンと軽く撫でた後、華奢な二戸 梨杏の体に両手を回して引き寄せ、そして力強くギュッーと抱きしめた。
ハッと驚いている二戸 梨杏。
――二戸 梨杏、嬉しい。
「先生……、」
「ありがとな、二戸!すっげー、嬉しい」
「先生、ちょっと苦しいよ……」
上を向きながらわざと惚けるように話す中村先生。
「俺、力加減が、わからないんだ――」
二戸 梨杏を抱きしめたまま少し考えた。



