「ねぇ、ねぇ!ケチャップかけるの、私がしてもいい?」
中村先生の眉毛がキリッと上がる。
「駄目だ、最後のケチャップのかけ方でまたオムライスの美味さが変わるんだぞ!」
「えーーっ、別にいいじゃない……!ケチャップかけるぐらい、私にさせてよ……!!」
「絶対に駄目だ!一番大切な仕上げだけはお前に譲らない!」
やがて、ケチャップのボトルの取り合いが始まり、押し問答が繰り返される。
「おいっ、早く俺に返せよー!」
イライラし始める中村先生。
「けちー、イジワル……・もぉっーーっ頑固者!」
「何だと!俺の目を見て、もう一回言ってみろー!」
「ガ・ン・コ・モ・ノッー!」
プンプンと怒った顔の二戸 梨杏が手で持っていたケチャップのボトルをギュッと力強く握りしめた。



