暫くしてから、白くて大きめの丸いお皿の上に中村先生が形を整えたケチャップご飯を先に盛り付け、更にその上にフライパンを斜めに傾けてラグビーボールみたいな形をした玉子を少しずつ揺らしながらそっと落として乗せる。
中村先生は、ここでひと手間を加えた。
果物用の小さな包丁の先で玉子の表面にスッーと横に長い線を引いていく、するとまだ熱々の半熟玉子が白い湯気を放ちながら両脇にゆっくりと流れ落ちた。
二戸 梨杏が銀色のスプーンの先を口でくわえながら見ている。
――見ているだけでも十分目で味わえるオムライス、早く食べたいと気持ちが焦る。
中村先生がケチャップのボトルを逆さまに向けて最後の仕上げをしようとしている。
と、いてもたってもいられなくなった二戸 梨杏が上目遣いで中村先生の顔を見て話しかけてきた。



