中村先生がネイビーのカーディガンを一枚脱いで椅子にかけた後、薄いブルーのシャツの両袖を肘くらいまでまくり上げて、いつもの様にエプロンを身につけた後背筋をピンと伸ばして台所に立った。
少し離れた所から中村先生の姿を見つめている二戸 梨杏。
泡のハンドソープをたっぷりと両手の手の平にふんわりと乗せて念入りに手をこすって洗っている中村先生、手が洗い終わると真剣な顔つきでさっそく晩ご飯の準備に取りかかっている。
――私も先生みたいに、お料理上手な女の子になりたい。
「私、何か、お手伝いをしたいんだけど?私が出来そうなことがあるかなー?」
「あっ、じゃあ、玉ねぎの皮を剥いて?」
中村先生から皮付きの玉ねぎを1個受け取り、薄い皮を一枚一枚剥き始める二戸 梨杏。



