「鞄、重いねー。いったい、何が入っているの?」
「そうだなー。夢がいっぱい入っているって、言いたい所だけど。残業!丸つけをしないといけないドリル1クラス分にテストの答案用紙2クラス分。とにかく、晩ご飯を食べてから頑張るよ!俺もお腹が減っているし、二戸もお腹が減ってるだろ? 」
「うんっ!」
「よしっ、キッチンに行こう!」
中村先生が目尻を少し下げて微笑んだ。
――家に帰ってまでの残業、先生が少し可哀想に思えた。
だけど、中村先生、全然平気な顔をして、私を見て笑っている。
学校で仕事してきて、十分疲れているはずなのに……。
あんな笑顔で笑う余裕、どうして、出来るんだろう?



