嬉しさ余って中村先生に抱きつこうとする二戸 梨杏だが、中村先生に片手を突き出されて「ダメだ!」と断られる。
きょとんとした顔で固まる二戸 梨杏。
「……どうしてダメなの?」
中村先生がコンビニの袋を二戸 梨杏の顔に近づけて中を見せる。
「ほらっ、晩御飯に使う玉子を買ってきたから、割れたら台無しだろう?」
もしかして、オムライスに使う玉子!
今日の朝先生に耳打ちをした私のリクエストをちゃんと先生は覚えてくれていたんだ。
――梨杏の心の中が少しジンと熱くなる。
嬉しいなーー。
何だか、涙が出そう――。



