「よし、帰るぞ!」
黒いビジネスバッグを片手に足早に学校を出る中村先生。
歩きながら冷蔵庫の中に入っている食材を思い浮かべながら、在庫をチェックしている。
「玉子3個だけじゃ、オムライスを作るのに足りないな。途中でコンビニに寄ろう!」
急ぎ足で歩いているが自宅に着くのは午後9時頃になりそうだ。
中村先生宅にいる二戸 梨杏。
「宿題が、終わった終わったー!」
床にペシャンと座ったまま両手を高く上げて喜んでいる二戸 梨杏。
「さて、次は何をしようかなー?」
人差し指を立てて口元に当てながら考えている二戸 梨杏。
普段ぜんぜん読みもしない新聞を広く開いて読み、テレビを見た後はソファーの上をゴロゴロと転がり時間を潰す。
リビングの時計に目をやると、午後8時30分。
先生、遅いなーー。
スマホを取って中村先生からの着信がないか画面を見て確かめる。
どこからも着信がない。



