「先生が今つけてるネクタイを私にください」 中村先生がいつもこれはお気に入りなんだと言って学校に行く時に良くつけていた、紺色のネクタイ。 中村先生が微笑んだ。 「ああ、わかったよ」 中村先生がネクタイの結び目に指をかけて慣れた手つきでネクタイをスルスルと外した。 「──二戸、もっと、近くに来い!」 二戸 梨杏が中村先生の顔を見上げながらゆっくりと歩いて近づいていった。