床に落ちている英会話の教科書を拾い上げて、二戸 梨杏の顔を見た。 「二戸、疲れているんだな……」 中村先生が眠っている二戸 梨杏に毛布をそっとかけて、頭を優しく撫でた。 ──あと、残り、1ヶ月だな。 卒業式の翌日、二戸はイギリスへ発つ。 この可愛い寝顔は、俺の目にしっかりと焼きつけておかないと──。