たとえ、自分の弟とは言え二戸 梨杏と年齢が近い。


若い男子と女子、二人きりになればと……、と考えると余計な考え事ばかりが次から次へと頭をよぎっていく。


中村先生は、拓夢と二戸 梨杏の距離が近くなってしまうことに凄く抵抗を感じていたのだった。


ただ、とにかく、時間がない。


そして、今は、そんな余計なことを言っている場合ではない。


『拓夢、アルバイトをしないか?』


『どんな、アルバイト?』


『二戸 梨杏に英語を教えるアルバイトだ』


『時給は千円。まぁ、条件は悪くないだろう?』


『ああ、わかったよ』


拓夢はすぐに良い返事をした。