「……、はーい」 中村先生がそっとハンカチを差し出した。 二戸 梨杏の耳元で囁く。 「今朝のハニートーストの蜂蜜がブラウスの襟元についてる……。拭け」 二戸 梨杏が制服の上着の袖口を伸ばして赤面を隠し、片方の手でハンカチをそおっとゆっくり受け取る。 その様子が動物のナマケモノの動き方に良く似ていて、堪えきれずにクスッと笑う中村先生。 ──また、二戸と一瞬だな。 進級できて、本当に良かった。