中村先生は表情を変えずにずっと正面を見ている。
ーーだろうな、クローゼットの中は狭いから拓夢と二戸がぴったりと身を寄せないと扉が閉まらなかっただろうな。
「そうかぁ、……」
別に気にしていない振りを装おうとしている中村先生。
俺が拓夢に聞きたいことは本当はこんなことじゃなくて、二戸に変なことしなかったのかを上手く探り聞きたいんだ。
しばらく沈黙が続いた後、急に拓夢が話を切り出した。
「梨杏ちゃん、寝顔が子猫みたいで凄く可愛いね」
「寝顔、見たのか?」
戸惑いながら「あっ……、うん」と返事をする拓夢。
中村先生の握りしめた拳にぎゅっと力が入る。
拓夢、アイツ・クソッーー!
って、俺が拓夢に嫉妬してどおするだよ………。



