晴れ時々@先生の妹【第2巻】


外の様子を用心深く伺いながら拓夢と二戸 梨杏が順番に出てくる。



「兄さん、親父は……?」




「親父、今、芋焼酎で潰れて台所で寝てる」




「まじっで、……!?」




「あぁ。拓夢と親父を俺の車で送りたいところなんだが、今車がないんだ」




「どうして?」




「ちょうど、……車検に出してる」




「兄さん、親父どうしよう?」




「拓夢、俺の着替えが済んだら。俺とお前でタクシーにまず親父を乗せて、一緒にお前の家まで送る。その後、俺は一人になったら、そのままタクシーで学校へ向かうから……」




「うん、わかった」




中村先生が二戸 梨杏に茶色い紙袋を一つ渡す。



「朝ご飯だ」



「わぁーっ、朝ご飯!先生、作ってくれたの?」



目を輝かせて嬉しいそうな顔をしている二戸 梨杏。




「家で食べてもいいし、学校に着いてからでもいい」



二戸 梨杏が紙袋の中を確認しようとすると中村先生が手を止めた。




「二戸、今はまだ中を見るな、時間がないから、先に早く朝の支度をするんだ」




「はーい」と口を膨らませる二戸 梨杏。




「……それから二戸、俺達が出た後、戸締まりをしっかりと頼んだぞ」、と中村先生が身支度をしながら話を続ける。



忙しそうな中村先生。



ーー先生、先生の顔が見られて、梨杏
はやっと安心したよ。



私に朝ご飯を用意してくれていたけれど。



先生は朝ご飯をちゃんともう食べたのかなぁ?