春の日差しを浴びて暖かくなった机。
肘をつきながら黒板を見る。
静かな先生の授業をよそにクラスはザワめいている。
教師も教えるのを諦め黙々と板書していた。
「黎。」
可愛い声が耳をかすめる。
「穂乃。どうしたの?」
いつも通りの笑顔で聞く。
「ほの、つまらなくなっちゃった。お話ししよっ。」
穂乃の後ろからは澪が顔を出していた。
「じゃあ、王様ゲームでもしよっか。」
そう言ってメモ帳を切る。
「じゃあ、俺もいれて!」
そのメモ帳を取り上げて番号を書き入れられる。
「萩田。字汚いんだから書くなよお。」
斜め後ろに身を乗り出しながら笑う。
「残念もう書いちゃった。」
舌を出しながら笑うそいつはまるで太陽のようだった。
「燈。」
その太陽の笑顔を遮ったのは月。
隣の席を見るともう萩田を睨んでいたその瞳はノートに戻っていた。
「なんだよ葵。やりたいならやりたいって言えばいーじゃねえか。」
「はあ?まずお前と一緒の事をやりたくない。」
三野はまるで月のような冷たい瞳をしている。
太陽と月はどうやら犬猿の仲らしい。