「いい子だね。」とか
「優しいね。」とか
自分に向けられる褒め言葉はいつのまにか上辺の自分に対してだけの物になっていた。
上辺だけの自分に向けられる上辺だけの褒め言葉なんてなくてもいい。
そう思えたらどれだけいい事か。
作り物でもいい。どんなに脆くてもいい。
『友情』という『信頼』というそして『居場所』という
すぐに割れてしまうガラス細工のような物が
どれだけこの学校という小さな世界で大事になるか。
それだけを必要としてそれだけを味方に付ける為に
左心房に込められた心には鍵をかけてしまっておく。
それが私、珠洲香黎(すずかれい)という人間。