でも、あのキスがなにか…?
あ………。



「なにか、飲まされた…気がする」



それはかすかな感覚で、何かがのどを通ったような感覚があっただけ。
味も臭いもしなかったから、勘違いとも思えるけど。

“何を飲ませたのか”と聞いても、否定をしなかった。





「飲まされた…そうですか…」

「ソウシ…?」




ソウシはそれを聞くと、押し黙ってしまった。
最近のソウシは、少し変だ。
いつも何か思い悩んでいる風だし。

何かに、怯えているような……。




怯えてる…?
ソウシが、まさかね…。






「紗南さま、今日はもうお休みください」

「でも…」

「きっとお疲れでしょうから。もう日も暮れます。レンさまもじき帰ってくるでしょう」

「わかった…」




言うことを聞こう。
あまり、心配をかけるのは本意ではないもの。

明日、目が覚めたらミナトのお見舞いに行こう。




そう思いながら私は眠りについた。