部屋を出る瞬間、ちょうどやってきたソウシとぶつかりそうになる。
「わ、紗南さま…?」
「…っ!」
私の酷い顔を見て、酷く驚いた表情を見せる。
私は、なにも言わずそのままその部屋を飛び出した。
「…まったく、なにを言ったんです」
ソウシは呆れたように呟く。
その言葉にレンは答えることはなく、私が出ていった扉の方をじっと見ていた。
私、レンは変わらないと思ってた。
王になったって、皆と分け隔てなく話して。
王だからと畏まられすぎるのを嫌がる人だから…。
仲間を大事にして、国を大事にする人だって。
でも、違ったの?
ミナトは、仲間なのに。
立場は変わっても、そのことには変わりがないのに。
“こんなこと”だと済ませてしまうの?
もし、ミナトじゃなくて私がそうなっても…。
こんなことだと、切り捨ててしまうの?
あんなに心配そうだったレンは、偽りなの?


