ミナトは、一命は取り留めた。
傷は、急所を少し外したところを貫通しており、処置が早かったこともあって最悪は免れた。
でも…、その傷は深く、ミナトの意識はまだ戻っていない。
「お医者様の話によると…、もしかしたらこのまま意識が戻らないかもって…」
「なに?」
「意識さえ戻れば、きっと元通りの身体に戻れるだろうって。でも、…もし意識が戻らなければ…」
どんどん声が震えて言葉にならない。
泣き出した私の肩をレンが強く抱いた。
どうしてこんなことに。
ミナトは、私を庇って……。
まただ。
脳裏に思い出される光景。
ここに来たばかりの時も、私の軽率な行動でミナトにけがを負わせた。
「ミナトの意識が戻らなかったらっ…私…」
「気を確かにもて。大丈夫だ、あいつはそんなに軟じゃない」
「でも…でも…っ!」
ミナトは私のせいで、こんな目に遭った。
私が、テラスになんか行かなければ…。
ミナトが呼びに来た時にすぐに戻っていれば…。
たら…
れば…
そんな、どうしようもできないことを思う。
「もう、休め。お前も続けざまに血を流し、身体はしんどいはずだ」
「…いや。私、ミナトの側に…」
ミナトの側にいたい。


