私のケガは、自分が思ってた以上に傷が深かったらしく、何と10針近く縫う羽目になった。
最近の私はケガ続きだ。
この世界の医療は私の元の世界よりも進んでいて、この傷もきっと早くは治るだろう。





「紗南!」





そんなことを考えていると医務室のドアが勢いよく開いた。
息を切らしたレンが、血相を変えて立っている。
レンは、確か公務でエリシア王国へ行っていたはず…。
明日まで帰ってこないはずじゃ?




「レン…。どうして?」

「お前が、またケガをしたと、伝書鳩がきた」

「そう…。私は、大したことはないわ」

「大したことないわけがあるか!」




レンが、取り乱して怒鳴る。
いったい、どうしたというの?
この前、私が脚立から落ちてケガをしたときは平然としていたのに。





「無事で、よかった…」

「レン…ごめんなさい…。心配かけて…」




抱きしめられた体。
心配、してくれたんだ。
嬉しい。




「ミナトは…」

「うん…」




レンの言葉に、私は顔を伏せる。