「っ…!」
脇腹に鋭い痛みが走る。
あの大きな音はいったいなに?
まるで、そう銃声のような…。
でも、この世界には銃というものは存在しない。
存在するとすれば、リュウが持っている伝説の武器のあの大砲くらいだ。
私は身体を起こそうとするけれど、私に覆いかぶさるようにして倒れたミナトが重く、身動きが取れない。
そのことに、様子がおかしいと気付く。
「ミナト?…ねぇ、ミナト?」
ぐったりと体の力は抜け、瞳を閉じている。
どうして…?
ミナトの身体を起こそうと体に触れた瞬間、手にぬるっとした感触。
見るとその手は真っ赤に染まっていた。
「キャ!?み、ミナト!」
血だ。
ミナトの左の胸元辺りが赤く染まっている。
見れば、私の脇腹も赤く染まっている。
ああ、あの鋭い痛みは、この傷のせいだったんだ。
私の傷は、横腹を掠り、斬れただけのようだ。
痛みはあるけれど、気を失うほどではない。
それよりもミナトだ。
この傷は、きっと早く手当しないと危険だ。
「誰かっ!!誰か来てぇ!!」
私は渾身の力を振り絞り叫んだ。
すると、さっきの銃声のような音を聞きつけていたのか、すぐに人が来て私たちを発見してくれた。
「王妃さま!!」
「…!ミナトさま!」
人々は大慌てで私とミナトを医務室まで運ぶ。
お願い、ミナトを助けて、そう私は何度も叫んだ。


