私よりも年下のミナトがそうやって割り切って生きているのに、私ったら。
わがままばかりだ。
寂しいとか、友だちがほしいとか、贅沢だ。
なんの不自由もなくて、恵まれていて。
それ以上に何かを求めるなんて。
強欲。
「紗南…ちゃん…」
「…ごめん。忘れて。ちょっと、ホームシックになってただけなの」
肩書きなんてなくて、私という人を見てくれる友達がいるあの世界。
忘れたことなんてない。
それでも、私はその世界を言ってしまえば捨てたんだ。
戻ろうと思えば戻れたのに。
だから、こんな泣き言なんて言ってはいけない。
強く、ならなきゃ。
「…紗南さま、でいいよ。それで紗南ちゃんって呼ばれても、それって命令されたからってことだもんね。その方が虚しい」
「紗南ちゃん、俺は…!」
「いいの。大丈夫、わかってるから。本当に、少しナーバスになってただけなの」
私はわがままだ。
わがままで強欲で、意地っ張り。
それが、私。
「…危ない!」
バァン!!!!
部屋に戻ろうと踵を返した私に覆いかぶさるようにするミナト。
私はそのまま倒れこむ。


