誰も、前みたいに「紗南ちゃん」と呼んではくれなくなった。 別にかしこまってほしくない。 仕方ないことなんだって、頭では理解していても、心は追いついていないんだ。 誰か、助けて。 寂しい心を埋めてほしいの。 「紗南」 声がする。 暖かい声。 大好きな声。 「無理を、させてしまってるな」 暖かい手が私の頭を撫でている。 でもどこか、悲しげで。 お願いです。 その手を離さないで。 暖かいその手…。 ずっと、側にいてほしい…。