「それは、レン様のヤキモチでしょ」
「……はあ?」
つい口に出ていたらしい愚痴をこぼすとミナトはそう言って笑った。
ヤキモチ?
レンがリュウに?
……まっさかー!
レンがヤキモチ焼くなんて信じられない。
こうして夫婦になった今も、レンが私を大切にしてくれるのはわかるけど。
そんな、ヤキモチとか、甘々とか無縁だもの。
付き合う前の方が甘々レンが見えてたんだけどなぁ。
「レン様は今でも紗南さまにぞっこんだよ」
「ぞっこんて……」
「だから、いくら仲間でもリュウのことばっか聞くから気に入らないんだよ」
「そうなのかな?」
それなら、少し嬉しいかも。
な、なんて……。
「紗南さま顔赤いよ」
「な、そんなことないわよ!」
ミナトはケラケラ笑って私をからかう。
もー!
「さ、行こう」
「あ……、はぁ。わかったわよ」
話に夢中になってすっかり、忘れていた。
まぁ、リュウに会えると思って我慢するか!
私はミナトについていく。
平凡な日々。
穏やかに1日が始まって終わる。
悪魔の脅威に怯えていたあの日々がもう遠い昔のよう。
国民もみんないい顔をしていて、騎士たちも生き生きとしている。
それが、ただ幸せに思う。
この幸せが当たり前のものになるように、私たちは頑張らないといけない。


