私たちは、城に向かう前に人のお母さんのお墓の前に来ていた。
私と同じ地球で生まれた人。
あなたは、幸せでしたか?
悪魔との子供を身籠り、どんな気持ちでしたか?
でも、あなたは、仁を愛した。
幸せ、だったんだよね?
「…仁を、見守っててね」
私はそう願いを告げ、手を合わせる。
ポケットから取り出した指輪を、墓石の上に置いた。
「…母さんの故郷には戻せなかったけど、これでよかったと思う。母さん、きっと手放したくなかったんだよな」
仁が優しく笑った。
「じゃあ、いこっか」
「ああ」
城に向かって歩く。
もう、振り返らない。
前を向いて、歩いていくと決めたから。


