「ユキちゃんの事。あの日、ソウシ、ユキちゃんと話してたよね?」

「紗南さんに、見られていましたか…。ええ…」

「なんの話をしていたの?」




聞きたくない、でも、聞かなきゃ。




「そろそろ、動き出す頃かと思いまして」

「え…?」

「問いただしていたんです。いつ、行動に移すつもりなのかと」

「…どういうことだよ、それ」



リュウが苛立ったように言う。
ソウシは、リュウをチラリと見るとすぐに視線を逸らした。




「結局、聞き出せないまま…。まさか、あんな風に正面切っていくとは思ってはいませんでしたけど」

「止めようとしたってこと?でも、どうしてあの使用人がレンを狙ってたこと知ってたの?」




疑問を一つ一つ投げかけていく。
ソウシはいたって冷静にそれに答えていった。



「聞いたからですよ。あの使用人が、仁が用意した刺客だと」

「え…」

「仁は、あの使用人の恨みを利用しようとしていたんです」





ユキちゃん。
彼女は、昔悪魔にルネス王国が襲われた時、両親を悪魔に殺されている。
しかし、その時にはまだかすかに息はあり、必死に助けを求めた。
でも、騎士たちは第二波の攻撃への対応に追われ、誰も気づいてあげられなかったそうだ。
そのことをずっと恨みに思っていたんだって、ここに来る途中レンが教えてくれた。