そんな簡単にいくわけないか、と少し諦めかけていたその時、辺りの風がざわめき始めた。
「なんで、お前がここにいるんだ!」
怒鳴りつけるような声とともに現れたその人は、灰色の瞳と髪の色をした、まるで姿は人間の男の子。
でも、ただならぬ雰囲気に、それが人間じゃないかもと思った。
「もしかして、あなたが…人魔…?」
私の問いかけに答えるように、ガラスが音を立てて割れた。
「何事!?」
その音に駆け付けたミナトとリュウ。
そして少し遅れてレンがテラスに集まった。
「貴様!仁!」
レンは、彼を睨みつけると、今にも戦いを始めてしまいそうな荒々しい空気を放っていた。
でも、あの人が人魔っていうことは確かみたいだ。
「なんでお前がここにいる!お前は、俺が元の世界に帰したはずだ」
「うん。そうだよ!でも、戻ってきたの!知りたかったから!どうして私は記憶を消されなくちゃいけなかったの!?」
「なんだと?」
仁の鋭い視線が私を射るように見る。
私は負けないように見つめ返し叫んだ。


