思い出したら、彼がここにいる理由もわかるんだろうか。
今、この彼が極悪非道の犯罪者なのだと言われたところで、私は信じられないだろう。
だって、こんな瞳を見てしまったんだから。
「思いだすからね、あなたの事も」
「…いえ…。いいんです。僕の事は、忘れてください」
「え…?」
彼は、寂しそうにそう呟く。
そして、こう続けた。
「僕は、ここにいてはいけない人間なんですから…」
それはいったいどういう意味なのか。
その答えを聞く前に、私はレンに促されその場を後にした。
もっと話したいことがあったのに。
それは、どういう意味なのかって、聞きたかったのに。
「どうして!なんで、あの人は牢に閉じ込められなくちゃいけないの?」
「……お前が、知らなくていいことだ」
「それは、私が覚えてないから?それとも、覚えていても教えてくれないってこと?」
外に出て、私はレンに詰め寄った。
でも、納得できる答えをレンはくれない。
肝心なことは、そうやって教えてくれないだ。
なにを信じたらいいの?


