「ここ…?」
レンに連れてこられたのは、初めてくる場所だった。
もしかしたら、昔来たことはあるのかもしれないけど。
そう思って聞いたら、本当に初めてらしい。
城の裏側にある無機質な建物。
前には門番のように人が立っていて、扉を開くとそこはすぐに階段になっていて地下へと続いていた。
中にはいると、そこはじめじめと湿気が多く、あまりいい環境とは言えない場所だ。
こんなところにソウシという人はいるんだろうか。
そもそも、どうして私が一度も来たことがないところにその人はいるの?
ならば、その人とはどこで出会ったの?
疑問は募るばかりだ。
階段を下まで降りるとそこには鍵のかかった扉がまた現れた。
外からカギをかけられてしまうと、どうやって出るんだろう?
そんな疑問は、その扉を開くと消え去った。
その先にあったのは、実物は初めて見る牢屋というものだ。
「え…?」
戸惑いながらレンを見ると、レンはなにも言わず視線を前に向けた。
その先に、彼がいるのか…。
ゆっくりと進んでいく。
奥の牢にその彼はいた。
他の牢は、誰も人はいなかったから、すぐに分かった。
中を覗くと、薄暗い中ではわかりにくいけど、金髪の少し長めの髪を横に流した優しい表情の男の人が瞳を閉じて眠っていた。


