「そうか、紗南…忘れたのか」
「…はい」
「だったらいっそ、俺んとこに嫁に来るか?」
「…はい?」
顔を上げ、リュウを見るとケラケラと笑顔を見せた。
なんなの、この人の変わりようは!
「ちょっとリュウ!」
「はははっ、ウソだよ」
「リュウが言うとウソに聞こえないんだよな」
そんな二人のやり取りを見て、ふと懐かしいと思った。
なんだかわからないけど、そんな風に思ったんだ。
なんだろう…。
「リュウ、今回はどれくらいいるの?」
「なんだミナト、結局俺がいないと寂しいんだろ」
「ち、違うって!」
「三日くらい、世話になるかな」
でも、すごい…。
あんなに落ち込んでみていられないくらいだったのに。
すっかり立ち直って、何事もなかったかのようにミナトと話してる。
そういう人なんだろうな。
「大丈夫か?」
「え…うん。なんだか、楽しいよ」
「楽しい?」
「だって、いろんな人に出会えるから。私にとっては、新しい出会いだもん」
にっこり笑ってそう言うと、レンは微笑みながら「そうか」と呟いた。


