あんなことを言われたけど、私は授業が終わっても行くつもりなんてなかった。
授業を会合とか意味わかんないことを言うような怪しい人にわざわざ会いに行く義理もないし。
またあんなセクハラうけて、嫌味なこと言われたらいやだし。
「なにしてんの!紗南、行くよ!」
「は?ちょっと美由紀!?行くって、どこに」
「中庭に決まってるでしょ!レンさんが待ってるんだから!」
「は、レンさんって誰?さっきの人?なに、美由紀の知ってる人なの?」
てか、なんで美由紀の知り合いが私なんかに突っかかってくるわけ?
「あ!美由紀があの人に私の事勝手に紹介したんでしょう!」
「なに言ってるのよ!私は紗南にレンさんを紹介されたのよ!」
「…は?」
わけわからないことを言う。
そんなわけないじゃん。
私あんな人知らないのに。
それでも、強引に中庭に連れてこられた私。
美由紀に背中を押されその人の前に突き出される。
「…別に、来たくて来たわけじゃ…ないから」
「こうして見ると、初めて会ったときを思い出す」
「え?」
「その時も、そんな風に俺に突っかかってきてた」
「なんの話…」
さも、私の事を知っているように話す。
私のなにを知ってるっていうの?
私は…彼を知ってるの?
空白の半年間に、何かがあったっていうの?
「…ここで一人で考えてた」
「え?」
「お前の幸せについて」
私の幸せ?
なに、それ…。
なんでそんなこと、あなたが考える必要があるの?


