「紗南…」
瞳を揺らし私を見るベッドの上の人。
なに…?
なんでそんな、悲しそうな顔で私を見るの?
私、あなたの事なんて知らないのに。
でも、私はその瞳に射抜かれたようになにも言えなくなってしまった。
その人は、ベッドから起き上がりこちらに一歩一歩歩みを進めてくる。
「紗南、守れなくてすまない…」
そう言った彼の声は、震えていた。
どうして……?
なんなの?
わけわからない。
この人たちは、私を知ってるの?
「あ、の…ッ、て、え!?」
混乱している間に、私はその人に抱きしめられていたんだ。
ちょちょちょちょ、ちょっと待ってよ!
「ちょっと、やだ!」
ドンッと体を押すと、思いの外その人の身体は押し返され、よろめいていた。
そう言えば、さっきまでベッドに寝ていたんだ。
もしかして、体調悪かったの?
ちょっとした罪悪感に苛まれながら、私は自分の身体を抱きしめながら後ずさった。
「どう…した?」
酷く傷ついた顔で私を見る。
やめてよ、そんな顔で見ないで。
私が何をしたっていうの?


