「よかった!気が付いたんだね!ごめんね、怖い思いさせて!俺…本当に心臓が止まるかと思った」

「は…え…?」




飛びつくように現れた男の子。
目には涙を浮かべ私を見ている。
心臓が止まりそうなのは、今の私だと思うのだけど。


短めの髪をツンツンとセットし、後ろ髪より少しだけ長い前髪を横で分けた黒髪の男の子。
なんとなく、可愛らしい弟キャラだな、と思った。





「レンのところに行こう!レン、ずっと心配してたんだ。紗南ちゃんがいなくなって、何度も自分で探しに行こうとして大変だったんだから」

「え、ちょっと待って…あの」




私の声なんてきっと届いてないんだろう彼は、一方的に訳の分からない事を話すと私の手を引っ張ってどこかに連れて行った。
なんだろう、危害を加えるつもりはないようだし…。
いったい、なんなんだろうか。





そして、ついたのは、これまた大きな扉の前。
ここはいったい、なんなの!
彼はどんどんと大きくノックをしてその扉を開いた。


中には、ベッドに横になっている男の子と、その傍らに寄り添うもう金髪の少し長めの髪を横に流した優しい表情の男の人の姿。


「紗南さん!?」




金髪の彼が目を丸く見開いて私を振り返る。
この人も、私の事を知っている風だ。
金髪の彼の声に身体を起こしたのは、黒髪の無造作に整えられた髪と、目つきは鋭く、左耳にはピアスをした男の人。


と言うか、ここにいる人たちみんな、コスプレみたいな変な格好をしている。