…ここは、どこだろう。
目を覚ましたのはどこか洋風な部屋のベッドの上だった。
なんだか、お姫様みたい。
そんな悠長なことを考えてみる。
身体を起こすと、なぜだか体中が痛かった。
胸元を見れば包帯が巻かれてあるし。
私、事故にでも遭ったんだっけ?
うーん…思い出せない。
普通に、学校に行って美由紀と浩太といつも通りしゃべってて…。
それから…?
起き上って見ると、そこは、本当にどこかのお城の中のように豪華な部屋だった。
アンティークのような家具で揃えられたとても落ち着かない部屋だ。
もしかして、人さらい?
まさか、こんな一般家庭の私を浚ってなんの得があるんだ。
そもそもこんな金持ちそうな家の持ち主が。
色々と考えを巡らせてみるけど答えなんか出るはずもなくて。
仕方なく部屋から出てみようと意を決して扉を開いた。
覗いた廊下も、豪華な絨毯にランプ、壁に掛けられた絵。
どれを見ても、自分が場違いに思えた。
「紗南ちゃん!」
突然声がして肩を震わせる。
まずい、犯人に見つかったらしい。
…ん?
でも、なんで?
今紗南ちゃんって言った?
私の事を知ってる人?


