「でも、こんなこと…お母さんは望んでるの?あなたの事、愛していたんじゃないの?」
だって、仁は拳銃をお母さんの形見だって言った。
そして今お母さんのために怒ってる。
「愛されてたから、そんなにもお母さんの事が大好きなんでしょう?お母さんのために、そんなに怒ってるんでしょう?」
「煩い!」
「だったら、もうこんな事やめて!お母さんのためにも!」
「黙れ!」
仁の手が、私の首を締め上げる。
ギリギリと力を込められ息ができない。
「あ…っ…か…」
意識が飛びそうになった時、仁の手は離れる。
私は、咳き込みながら空気を吸い込む。
「…ごほっ…はぁっ…はぁっ…」
仁は、私の髪を掴み私に剣を突き立てる。
恐怖に固まる身体。
私は息をのむと、仁がその剣を横に引く。
パラパラと、音を立てたのは私の髪。
仁は、私の長かった髪を首の真ん中あたりで切り落とすと切り落とした髪を持ってどこかに行ってしまった。
残されたのは、すっかり覚めてしまったパンとスープ。
こんな状態では食べることなんてできないのに…。


