爆発音は、城内で仕事をしていたレンのもとまで届いていた。
「いったい何事だ」
「い、いえ…、それが私にも…」
部屋の前で待機していた家臣に問うが、はっきりとした答えは返ってこない。
レンは舌打ちをし、苛立ちを露わにしながら部屋を飛び出した。
嫌な気しかしない。
「レン!」
「…ソウシ。いったい何事だ」
「僕にも、音は中庭からのようです」
「…中庭だと」
途中で合流したソウシと言葉を交わす。
中庭、という言葉に一層不安が募った。
中庭が一番好きな紗南。
暇を見つけてはあの場所に行っていた。
どうか、今は行っていないでくれ、と願いながら。
しかし、その願いは儚くも散ることになる。
中庭には多くの人だかりができていた。
「王妃さま!」
「なんてこと!」
口々に聞こえる中に、紗南を指す声があることに心が荒れる。


