「紗南さま―!」



シオンくんの叫び声が、聞こえる。
地面に叩きつけられた体が痛い。


胸を強打したのか、息がうまく吸えない。



「…は…っ、…あ…シオ…く…ん…」




大丈夫だから、私は、大丈夫。
ドクドクと、胸の鼓動と同調するように溢れてくるその血が、私が倒れている地面に広がっていく。




「紗南さま!!ああ!紗南さま!」




風がやみ、駆けつけたシオンくんが私を抱き起こす。
視界がぼやけ、シオンくんの顔が歪んで見える。



「どうしよう…俺のせいだ…紗南さま…っ!」



動揺しているシオンくんの声を、遠くで聞きながら。
私はゆっくりと瞳を閉じた……。