城に戻った私たちを待っていてくれたのはレンだった。
「ただいま、レン」
「ああ。話はまとまったのか?」
誰に会いに行ったのかも、お見通しだったレンはミナトをチラリと視線に入れながら私に尋ねた。
私は、にっこり笑顔でうなずいた。
それを見てレンは、安心したように表情を緩めた。
レンも心配してたんだよね。
「それがよー、どさくさに紛れて、紗南を抱きしめてたぜ、ミナトの奴」
「あ!リュウ!やめろって言ったのに!」
レンに会った瞬間、全く隠す様子もなくはっきりと言い切ったリュウ。
と言うかそれ、私も被害被りそうなんだけど!
ほら、レンの瞳が変わった。
「どういうことだ?」
「違うの、レン!」
「違うんだって、レン!」
「ほお、ずいぶん仲良くなったようだな」
ハモった私たちを見てレンが怪しく笑った。
こ、怖い!
ミナトと顔を合わせ身震いをする。
なにを言われてもとりあえず謝る。
それが一番いい。
私は覚悟を決めた。
たぶん、ミナトもだろう。
「ソウシ、各国に配る資料の事だが…」
「あ、はい…」
しかし、その覚悟も杞憂に終わり、レンは話を切り替える。
え、どうして?


