「ミナト…、よかったね」
どう言葉をかけたらいいかわからず、とりあえず当たり障りのないことを言ってしまう。
ああ、なんて薄っぺらい言葉。
ミナトは、涙を瞳に溜め、私を見つめると、グイッと私の身体を抱き寄せた。
「えっ、ミ、ミナト!?」
「…ごめん。少しだけ…」
声が震えている。
泣いているんだ…。
「親なんて、過去なんていらないって思ってたんだ…。ずっと、あの人の事だって疑ってた。信じて、なかったんだ…」
「ミナト…」
「でも…俺…」
ミナトの腕に力がこめられる。
「愛されてたんだ…」
ミナトの想いが、その温もりと一緒に伝わる。
私は、ミナトを抱きしめ返し、背中をさする。
嬉しいんだね、そのことが。
ずっと、愛されたいと思ってきたんだよね。
きっと誰よりも。
でも、ミナトは、愛されてたんだ。
ちゃんと愛を受け取ってた。


