「…っ、その羽…」
「…ああ。もしかして、聞いたのかい?まったく、口が軽くて困ったものだね」
ウィルさんが呆れたように言った。
私の隣で、ジルとエリックがビクッと肩を震わせた。
「飛べなくなった時…嬉しかったんだよ」
「え?」
「君とのつながりが、できたみたいで。君と同じように飛べなくなったことでね」
違いすぎる人間と悪魔。
少しでも近づきたいと願ったんだろうか。
そんなもの、ただの気休めでしかないはずでも…。
「こんなことを言う私は、頭がイカれてしまっているのかもしれないね」
「そんな…」
「…君は、立派になったね。きっと、素敵な人に出会えたんだね」
「…はい。俺の周りは、いい人ばかりです…」
「そうか、安心したよ」
ウィルさんの笑顔は透き通っていた。
引き込まれそうになるその笑顔。
「…ありがとうございました…。俺を、救ってくれて。育てて、くれて…」
ミナトは、そういうと深く頭を下げ、踵を返してこちらに向かってくる。
突然の事にどこに身を隠そうかと戸惑っていると、あっけなくミナトに見つかってしまった。


