だからこそ、こうして面と向かって直接聞いてるんだ。
その口で、本当の事を聞きたいから。
「…君に初めて会ったのは、この先の、本当に人間の大陸とこちらとの境辺りでね」
ウィルさんが、指でその先を指しながら答える。
ミナトは、ちらりとその指の先を確認した後、ウィルさんに視線を戻した。
「思わず手を伸ばした私の指を、小さな小さな手で握ったんだよ…。君に、必要とされた気がしたんだ…」
「…」
「だからだよ」
「え…それだけ…ですか…?」
ミナトは、戸惑ったようにそう呟いた。
人間の子どもを拾う理由にしては、とても小さいような気がしたんだろう。
「…少しの時間だったけど、あの時間はとても幸せだった。まるで、本当の父親になった気分だったよ」
「…どうして…」
「ん?」
「どうして、俺なんかのために…。その羽、…俺のせいなんだろ!?」
泣き叫ぶようにミナトが言う。
ウィルさんの優しさが、きっとミナトに伝わったんだ。
だからこそ、自分のせいでという思いが強まる。
「君を、守りたかった。私は、君の本当の父ではないけれど、なりたかったのかもしれないね。君の、本当の父親に」
「本当の…父親…」
「愛していたんだよ、ミナト」
それは、本当に心からの思いで。
私の瞳からも一筋の涙がこぼれた。


