「でも、ウィルさんは、そのことを恨みに思ったり、文句を言ったり、そんな事絶対にしない」
「いつも、ミナトの無事を祈ってたんすよ」
父親として。
きっとウィルさんは、そんな思いを抱いていたんだろう。
だから、最後に父親らしいことをしたい、そんな言葉が出てきた。
ウィルさんは、ミナトの父親でいようとしてくれていた。
「…っ!」
それを聞いて、ミナトが突然立ち上がり飛び出していく。
慌てて私もそれを追う。
「ミナト!紗南さん!」
「紗南、待て!」
だって、放っておけない。
ミナトがどこに行くつもりなのかわからないけど…。
ミナトは、馬を持ち出し、馬に乗って外に行くつもりのようだ。
ああ、どうしよう。
「紗南!乗れ!」
その時、リュウが馬に乗ってあらわれた。
私は、リュウの馬に乗せてもらいミナトの後を追う。


