「あいつなりに、必死で気持ちを落ち着かせようとしてる。もう少し待ってやってくれ」
「うん…。そうだよね、自分を育ててくれた人に会えて、嬉しくないはずないんだよね」
ミナトだって、あのウィルさんを見て感じたはずだ。
利用しようとしていたわけじゃないはずだってこと。
ちゃんと、そこに温もりはあったんだと。
「気づかないものだ。愛情なんて、特にあの人といたのはほんの幼いころだったからな」
「だね」
親の愛って、無条件にあるものだと思ってた。
でも、そうじゃない人だっている。
それを知らなければ、いざ愛情を向けられても、信じることができないんじゃないかな。
だって、愛情がどんなものなのかを知らないんだから。
「…昨日のレン、かっこよかった」
「は?」
「…あ、え、私、なに言ってんだろう…」
いや、ついぽろっと。
なに言ってんだろう、恥ずかしい。
でも、村人に熱く訴えているレンは、とてもかっこよく映ったんだ。


