私たちは、城に戻ってきていた。
あの後、レンたちが私たちを迎えに来てそのまま。



ミナトは、ずっと何も話そうとしないし、何かを考え込んでいる様だった。
きっとウィルさんの事を考えているんだろうともう。




｢はぁ…。やっぱ私…余計なことしたんだよね…｣




自己嫌悪。
良かれと思ってしたことだけど、ミナトの気持ちとか全然考えてなかったかもしれない。
心の準備だって、きっとできてなかっただろうに。





｢紗南、いるか？」



ドアの向こうから、レンの声。
私はその声にこたえると、ゆっくりと部屋の扉が開いた。



｢大丈夫か？」

｢レン…｣

｢ミナトが心配してたぞ｣

｢え…？」



ミナトが？
なんで…。
自分の方が動揺して混乱している時なのに。



｢自分のせいで、紗南を悩ませてしまってるって｣

｢そんなことないのに…｣