「ミナト」
私は、ミナトを見つけ声をかける。
ミナトは道からそれた林の中で見つけた。
「……俺、どうしたらいいかわかんなかった」
「ごめんね、私…余計なことしちゃったよね」
「ううん。紗南ちゃんが、確かめてくれなかったら…俺自分では確かめられなかったよ」
たぶん、傷跡の事だろう。
知りたかったんだよね。
でも、言葉が出てこなかった。
それで、私が傷跡のこと聞いて確信に変わった。
確信に変わったからこそ、どうしたらいいかわからなかった。
「…あんな風に、生きててよかった、とか言われると…。なんか戸惑う」
「戸惑う?」
「俺、きっと、もし会ったとしても、俺を覚えていないか、利用しようとしてたんだって言われるんだって思ってた…。いや、思おうとしてた。傷つきたくないから」
「そんな風に、見えなかったよ」
「うん…。だから、戸惑ったんだよ。どう反応したらいいかわかんなくて。そんなこと、思ってもみなかったんだ」
私には、ウィルさんの姿は、子どもを心配する親の姿に見えた。
本当に、そう見えたんだよ。
「ごめん…紗南ちゃん…。俺、どうしたいのか、わかんないんだ…」
ミナトは力なくそう答える。


