「ああ、生きていたんだね。そうか…そうか…。もう死んでいるものだと…。生きていたのか。立派に、立派になったね。ああ…夢みたいだよ」



ミナトの肩、頬、髪を確かめるように触れる。
それは、愛しいものに触れる姿に見えた。


突然ミナトがその手を振りほどき飛び出していった。



「ミナト!」



レンたちが呼ぶけど、立ち止まることなく走り去っていく。
きっと、どうしたらいいかわかんないんだよね。




「…ごめんなさい、私…」


やっぱり、言うべきじゃなかっただろうか。
でも、せっかく出会えたのに。




「いや、突然の事で混乱してるんだろう」

「うん…。会うのが怖いって言ってたから…」




でも、ミナトはきっと育ててくれたウィルさんに会えてうれしいはずだ。
本当に消し去りたい過去だと思ってるなら、どんなことがあっても私にだって言わないはずだし。
傷のことだって、覚えているはずないもん。




「ウィルさん。今度改めて、ミナトに会ってもらえませんか?きっと、ミナト、ウィルさんと話がしたいって思ってると思うんです」

「ええ…。できることなら、私もあの子と話がしたい」

「はい…。突然、すいませんでした」




きっとウィルさんだって、驚いて戸惑っていることだろう。